最近、ネットショップの立ち上げで自然栽培の甜菜糖を探していたのですが、ネット上で海外のオーガニックの甜菜糖を探しても、白いものしかなくて、苦闘していました。
もちろん、自然栽培の無農薬不肥料限定で商品化したいと探しているのですが、8800円/kgなんていうのがざらでして…なかなか現実化しない。
それでは、有機肥料まではOKという事にすると海外産では白い甜菜糖しかないのです。精製しているものを売るのは嫌だなーと思っていたら、なんとスイスなどヨーロッパのBIO認証の甜菜糖は白いのが正当。精製している訳ではないのです。むしろ、茶色いのが邪道ということが判明してしまったんです。今までの私の常識を打ち破る衝撃な事実でした!
甜菜糖とは?
甜菜糖は根の形が大根に似ていることから、別名「砂糖大根」や「ビート」などと呼ばれています。ドイツ原産でヨーロッパを中心に広く生産されています。日本では栽培されているのは北海道だけです。大根に似ているくせに実はほうれん草などと同じヒユ科の植物で、その、ほのかな甘みが甜菜糖の原料となりやさしいふんわりとした口当たりの砂糖になります。
よく調べてみると、甜菜は害虫に弱く、農薬・殺虫剤・化学肥料が半端なく使われなくてはならないほど難しい作物。無農薬無肥料の自然栽培のものが8800円/㎏というのも、コックリとうなづけます。同じ様にトマトや果物など甘みがある作物は虫が集まって来やすく、管理もそれだけ大変になっていきます。そのため、オーガニック甜菜糖の生産者は収穫が不安定なため、オーガニックでない甜菜糖も同時期に平行に生産するなどしてリスクを回避しているようです。
また、海外産の非オーガニックの甜菜糖は遺伝子組み換えが多いのですが、北海道では種の輸入時に遺伝子組み換えでないものを買い入れる努力をしてくれているという情報はあります。非オーガニックを使用するなら、国内で作られた原料の(製造されたではない)製品を選んだ方が無難なようです。北海道でも今後、中国などに農地を奪われることなく日本人が農家を続け、遺伝子組み換えでないタネを買い育ててくれることを祈るばかりです。
甜菜糖が茶色い理由
甜菜糖を作るには、甜菜を煮出して糖分を抽出し糖液を作ります。これから不純物を取り除き、煮詰め糖液の水分を蒸発させ煮詰めていきます。そして、遠心分離機にかけて結晶と密分(液体)に分けていきます。この蜜分を乾燥させたものが甜菜糖、結晶をさらに乾燥したものを上白糖やグラニュー糖となります。
ですので、一般に「甜菜糖の茶色は糖蜜の天然の色です」と言われていて私もそうだと思っていましたが、実はこれは精製された時に煮詰めた結果の焦げた色、つまり灰汁(アク)の色です。実際、精製され排除されたミネラルやオリゴ糖がここに含まれるので、上白糖やグラニュー糖よりミネラルやオリゴ糖が豊富に含まれていることは確かです。
しかし、オーガニックのものを使用していない場合、 上白糖やグラニュー糖より農薬を除去しきれず、大量に残留させ体内に摂り込む可能性は高いと思われます。
ヨーロッパのBIO認証(オーガニック)の甜菜糖の色がなぜ白いかというとこの灰汁を不純物として取り除いている結果、白くなるという事です。
甜菜糖のおいしいメリット
一般に言われている甜菜糖のメリットには次の事があげられます
- ミネラルが豊富
- オリゴ糖を含んでいてお腹に優しい
- 体を温める効果
- 血糖値の上昇が緩やか
ミネラルが豊富
上白糖は99%が炭水化物でミネラルはほとんど含まれていないと言われています。体内に入ってきた食べ物(砂糖)を消化・分解する時に、必ずミネラルを必要とします。 食べ物(砂糖) を摂り入れた時、一緒にミネラル分を摂りこめなかった場合、自然な流れとして体内のミネラルを使ってそれを分解されます。ですから、砂糖を摂った時に一時的に血糖値が上がって元気になったように感じても、その後ミネラル不足で「もっともっと何かを食べたい!」と欲求が抑えられず不足感を感じやすくなっていきますね。人間が勝手に加工して本来の食べ物の形で失くしてしまったため(ミネラルと炭水化物を一緒に摂りこむ)、自ら不調に追い込まれるという悪循環がここで起こります。自然の食べ物というのは色々といじらなくても、いえ、いじらない方が健康に生きられる仕組みが勝手に出来ているのです。
甜菜糖は上白糖などの結晶を取り除いたものなのでそれらに比べると、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、亜鉛等の天然のミネラルが含まれています。
モラセスと言われるこのような灰汁のシロップは、オーガニックであれば農薬などの残留の心配は低く、ミネラル源として、おおいに摂り入れてみる価値は高いです。(ライスシロップ、デーツシロップ他)
オリゴ糖を含んでいてお腹にやさしい
オリゴ糖とはブドウ糖、果糖などの単糖が2~10個ほど結びついた小糖類です。善玉菌と呼ばれるビフィズス菌などの腸内細菌の栄養源となり、これらが増殖し酢酸・プロピオン酸などの有機酸を生成します。これにより腸内が弱酸性に傾き、腸内の大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌の増殖や活動を抑制します。そうなると、腸の蠕動運動が活発になり、腸内環境が整い、便秘や下痢、便臭の改善に繋がっていきます。
通常、摂取した食べ物は唾液や胃液などの消化酵素によって分解されて、消化吸収されます。しかし、オリゴ糖は消化酵素で殆ど分解されない難消化性(消化しづらい)である為、そのまま大腸に届きます。
血糖値の上昇が緩やか
オリゴ糖のお話でもあったように、分解されないまま大腸に届くため、からだのエネルギーになりにくく、血糖値を急激に上昇させるようなことはありません。
優しい体を温める効果
中医学(薬膳や漢方)やマクロビオティックの考え方で言うと、暑いところで育ったものはからだを冷やし、寒いところで育ったものはからだを温めやすくなります。甜菜糖は北海道のような寒い場所で栽培をされるため、からだを温めやすいと考えられています。
甜菜糖はビーガンもOK!
砂糖は植物を煮詰めたものなんだから、何でビーガンかどうかなんて話になるのでしょう?
実は、砂糖を精製する過程で不純物を取り除く時に、牛骨を使ったフィルターを使用することが多くあります。サトウキビから作られるものにはこれらの骨灰を使用することが多く、基本的に甜菜糖・ココナッツ・メープル・アガベ・コーン・ライス・デーツなどから作られるシロップやシュガーなどは使用されない(ビーガンでなければ蜂蜜も)と言われています。
いかがだったでしょうか?甜菜糖の色が茶色い理由は灰汁、ヨーロッパの甜菜糖が白い理由は灰汁を取り除いているからでした。また、他の作物と同じように農薬や肥料を使用して作物が育てられた場合、これらは残留し健康だと思いあえて、摂り入れたものが逆に不健康の原因となってしまうことがあります。次世代への繋げる土壌を作る意味でも、私は日本でも無農薬無肥料の作物を広めていきたいと思っています。
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